フォーマット思考で行こう!

Format thinking 上田利幸の私的ポータルサイト

組織マネジメントとしてのフォーマット思考

「仕事は型にはめなさい!」で紹介させていただた、レベルチューニングの目的について説明させていただきます。

レベルチューニングとは、チームのメンバー同士でフォーマットを作成しながら、マネジメントに対する理解を深め、チーム内のコミュニケ―ションレベルを上げていくことを目的したノウハウです。

ここでは、書籍の中では触れなかった、私が示すところの「コミュニケーションレベル」というものについて改めて説明させていただきます。

もしも、泣かれてしまったら

いきなりですが…。

あなたは、泣かれたことはありますか?

私はあります。責めてもいないのに、突然泣き出されたことが…。
プライベートの話をしているわけではありません。
ある中小企業(年商60億クラス)でのミーティングの最中に起こった出来事です。
それは、部下を持つ女性リーダーとの、業務改善案をまとめるための打合せの時でした。
彼女は、そのミーティングの最中に「私には、そんな難しいことはできません…」と言って、突然泣き出してしまったのです。

当時、30代だった私は、その姿を見て唖然としてしまいました。
怒鳴ったり、責めたりしたのではなく、改善案のためのヒアリングをしながら、次回のミーティングに必要な作業を分担している途中で、泣き出してしまったのですから…。

あとから周囲の人に話を聞くと、専門職としての経験だけでリーダーに選ばれたその女性は、マネジメントにかかわる業務を一切拒否しならが、今まで仕事をしてきたそうなのです。
つまり、いつものよくある光景だというのです。
それを聞いた私は、「できません」と言って泣かれたことにも驚きましたが、その女性リーダーの姿勢を受け入れ続けていた組織の常識にも驚かずにはいられませんでした。

しかし、これは、何も特別な話ではありません。
「泣く」という行為まではいかなくとも、似たような態度をとる部下や、それを「仕方ない」と受け入れてしまう組織はいくらでもあるものです。

さて、このような場合、あなたならどうしますか?
このような組織を改革するためには、どのような方策が必要だと考えますか?

なぜ、組織は変われないのか?

組織が変われない理由…。
それは、「コミュニケーションレベルを上げられないから」という一言に尽きます。

組織が成長への脱皮をできるか否かは、すべてここに集約されていると言っても過言ではないでしょう。
私が言うところのコミュニケーションレベルとは、例えて言えば、パソコンスキルのようなものです。
ウィンドウズが出回り始めた最初の頃、「パソコンができるからといって、仕事ができるわけじゃない。そんなの覚える必要は無い」と言っていた人達が大勢いました。

しかし、今はどうでしょう。
そんなことを言っていた人達も皆、メールを使い、ワードやエクセルを使っています。
それぐらいのことができなければ、報告もできない、書類も書けないという状態になりますので、仕事上のコミュニケーションに支障をきたすことになってしまうからです。

このように、個々人が持っている特殊な職業スキルとは関係なく、職場でコミュニケーションを成立するために必要不可欠な共有スキルとして存在しているものがコミュニケーションレベルというものだと考えてください。

では、「コミュニケ―ションレベルを上げる」とはどういう意味なのでしょうか?
それは、パソコンスキルと同じように、「最低限、このレベル以上でなければ、組織内でのコミュニケーションが取れない」というものを、マネジメントスキルに対しても求めるということです。

さすがにパソコンとは違い、「マネジメントスキルなんて仕事ができるかどうかに関係ない」なんて言う人は滅多にいないはずです。
そう考えると、マネジメントはパソコンよりも大切な共有スキルとして「求められるレベル」とともに存在していないほうがおかしいことになります。

しかし、どうでしょう…。
未だに多くの組織内では、「これが社内で最低限必要とされるマネジメントスキルだ」というものを、求めようとも、提示しようともしていないのです。
「マネジメントスキルは必要だと思うけど、コミュニケーションに支障をきたすほどの危機感はない。よくわからないから、できる人がやればいい」
このような意識が、組織の上から下までまかり通っているのが現状なのです。

これでは、組織を変えることなどできるはずがありません。
誰かが組織を変えようと奮闘したとしても、その改革案を受け入れるだけの理解力が組織側にも備わっていなければ、提案者は孤立無援の状態になってしまいます。

そうなれば、組織改革のためのマネジメントは、厳しい成果主義と勘違いされ、協力者を得られないまま頓挫してしまうことになるでしょう。
成長する組織に変えるためには、それを支える人材(マネージャー)と共に、それを受け入れられる土壌(組織の上から下までの全員のマネジメント意識)も育てなければいけません。

そのためには、コミュニケーションレベルを上げること…。

つまり、極端に言えば、「マネジメント感覚でコミュニケ―ション(発言や意見交換)をとれない人は子供扱いされても仕方ない。職業人として最低限のマナーだ」と思えるぐらいの職場環境をつくらなければいけないということです。
本気で組織を変えたいのなら、まずは、そこから始めなければいけないのです。

なぜ、人材が育たないのか?

「人を育てるということは、言いかえれば、マネジメントができるように育てるということです。だから、育った人は職種に関係なく、マネージャーと呼ばれるようになります。」

このように説明すると、いかにも当たり前のことを当たり前のように言っているように聞こえます。
しかし、残念ながら、このプロセスどおりにマネージャーを育てているケースはほとんどありません(外部から受け入れるのではなく、生え抜きの場合)。

「マネジメントができるからマネージャーに選ばれた」のではなく、「マネジメントができるようになるためにマネージャーという肩書きが与えられた」、「部下をつけるために名目上として…」というケースがほとんどなのではないでしょうか。
そのために「自己マネジメントさえできない上司が部下のマネジメントに悩む」という歪んだ構造が生み出されてしまうのです。

マネジメントはマネージャーになってから学ぶものではありません。
本来、マネージャーはマネジメントができる人の中から選ばれるものであり、社員はすべて、その候補者として入社時からマネジメント教育を受けるべきなのです。
その候補者の中から、つまり、マネジメントを理解し、評価し合える仲間の中から選ばれた人がマネージャーとなるからこそ、信頼関係が生まれ、しっかりとした指示系統が機能するようになるのです。

口が上手い、根回しが上手いというのも一つの才能ですが、それだから意見が通ると思われている職場環境では人は育ちません。
マネジメントスキルを評価し合える環境をつくり、マネジメントができるから意見が通ると思われるような、「向上心の受け皿」としての職場環境をつくらなければいけないのです。

このような環境を実現するためには、
やはり…、組織全体のコミュニケーションレベルを上げる…。
そこから始めなければいけません。

だから、レベルチューニング!

以上、書籍の補足として説明させていただきました。

チームメンバーの成長を願うのであれば、是非、一度チームとフォーマットの関係を見直してみてはいかがでしょうか?

レベルチューニングとは、フォーマットを使ってコミュニケーションレベルを調整しながら上げていくノウハウです。

方法論は書籍で説明させていただいておりますので詳しくは触れませんが、自主研修を行う場合は、一回目のワークのあとに、ワークの参加者全員に本書を読んでいただき、そのあとで研修を再開するくという方法もありますので、是非試してみてください。